天からの贈り物『チベット天珠(てんじゅ)』
天珠のおはなし
天珠について
天珠とは瑪瑙(アゲート)に特殊な薬液で模様を描き、高温で焼き付ける腐食加工を施す伝統的な技法によって作られたチベットに伝わる聖なるお守りの宝石です。天珠には様々な種類の模様があり、それぞれに幸運を招く願いや意味が込められています。
天珠は石ではなく天から現れた霊虫であるという伝説があり、その強大な霊力で災厄を退けあらゆる幸運を招くと信じられています。数千年前から人々に愛され、代々家宝として今現在にも受け継がれてきました。
天珠の本場チベットではジー(dzi)と呼ばれ、世界的にはジービーズ(dzi beads)の名で広まっています。
模様だけじゃない天珠の種類
天珠には様々な模様があると言いましたが、それ以外にも種類があります。
一般的によく見かける天珠は黒や焦げ茶色をした下地に白やクリーム色の模様が描かれている「至純天珠」というものです。模様を焼き付けた後に表面を美しく磨き上げ、つるりとしたツヤを付けています。研磨をせずに表面がマットなアンティーク風のものは「至純風化天珠」と呼ばれます。
また、至純天珠の白黒を反転させたものを「白天珠」といいます。他にも色が赤い「赤天珠」、緑色の「緑天珠」などがあります。
1本1本違う天珠の個性
天珠は手作業で作られるため、模様を描く前の瑪瑙だけに関しても石の長さや太さ、曲線の角度、色の濃淡や縞模様の有無など様々な違いがあります。
天珠の見た目を大きく決める模様付けの作業。特殊な塗料を用いて職人が手作業で丁寧に模様を描いていきます。そのため、同じ模様でも線の細さや模様の形などに違いが生まれるのです。
最後に高温で瑪瑙に模様を焼き付けます。ここでは焼き付けの時間などで模様の濃淡や表面の細かなひび割れなどの違いが生まれます。実際にこの工程が完了するまで熟練の職人でもどのような見た目になるか、はっきりとは分からないそうです。
このように様々な要素が組み合わさり一つの天珠として誕生します。天然石にも同じことが言えますが一期一会の出会いを大切にし、それぞれが持つ表情、個性をぜひ楽しんでみてください。
天珠の名前の由来
チベット語でジー(dzi)とは「瑪瑙」のことです。天珠という名は「天珠は石ではなく天から現れた霊虫であるという伝説」を元に中国で名付けられたという説があります。
目のような円が描かれた天珠は眼天珠と呼ばれ、円の数で名前と意味が変わります。
その他の天珠には模様に即した名前が付けられており、2つの模様を組み合わせた天珠も存在します。
天珠の意味と込められた願い
描かれた模様によって意味が異なります。
スピリチュアルな感性を持つ方の中には天珠はパワーが強すぎると言う方もいらっしゃるそうです。
当店で取り扱っている天珠の意味は各商品ページでご覧いただけます。
天珠の選び方
当店ではまず初めに気に入ったデザインの天珠を選んでいただくことをおすすめしております。天珠は様々な模様があるため好みで選んでいただき、その中でそれぞれの天珠に込められた意味を大切にすると良いのではないかという考えです。
天珠に限らずパワーストーン全般に言えることですが、自分が身に着けるアクセサリーですので好みではないものを無理に持つ必要はないというのが当店のスタンスとなっております。
もちろん、見た目を気にせず意味を重視して選んでいただくこともポピュラーな選び方の一つでもあります。
見た目、意味、いずれにしても自分が気に入ったものを選んでいただくのが一番おすすめの選び方です!
天珠の浄化、お手入れ、メンテナンス方法
浄化方法 | |||||
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水晶 | 流水 | 塩 | 日光 | 月光 | 香 |
○ | ○ | ○ | × | ○ | × |
天珠の浄化には水晶や塩、月光での浄化がおすすめです。
お香やハーブなどを使った浄化の場合、表面や馬蹄痕の隙間などに煤が付着し変色の恐れがあります。
老天珠と現代天珠、新天珠
老天珠とは
古代チベットで作られ現代になって出土したもの、現地の方に代々受け継がれてきたアンティーク天珠です。
一財産となるような数百万から数千万円するものになりますので、それを専門に取り扱うようなバイヤーでしかお目にかかれないかもしれません。
至純風化天珠の失敗作や劣化したものなどが老天珠として売られている場合がありますのでご注意ください。
現代天珠、新天珠とは
近代になってから老天珠に習い伝統的な技法で製造された天珠です。
現在、一般的に出回っている至純天珠などがこれにあたります。
後の時代に作られたため、老天珠には存在しない新たな模様の天珠が存在しています。
当店ではこの現代天珠、新天珠のみを取り扱っております。
希少価値が高いと言われる朱砂天珠
朱砂天珠とは
良質な瑪瑙の中にはごく稀に「朱砂(しゅしゃ)」と呼ばれる赤や黒の斑点模様が見られることがあります。朱砂には赤色の「紅朱砂」、黒色の「黒朱砂」の2種類があり、それらが見られる天珠のことを「朱砂天珠」と呼びます。
朱砂天珠は朱砂の入った瑪瑙を使用して作られますが、それら全てが朱砂天珠になるわけではありません。
天珠は瑪瑙に薬液を塗り模様を焼き付けるため、通常は朱砂があったとしても薬液に埋もれ見えなくなってしまいます。しかし、稀に焼き付けを行ったにも関わらず朱砂が消えずに残るものがあり、それらが朱砂天珠として認められるのです。
黒の薬液が誤って白い模様部分に付着してしまっているものを朱砂天珠と誤解してしまう方がいますが、それらは朱砂天珠ではありません。
朱砂天珠は何十倍もの価値があると言われ希少価値も非常に高くなっています。
紅朱砂九眼天珠(左上)、黒朱砂金剛蓮花三眼天珠(右上)
紅朱砂三眼天珠(左下)、黒朱砂宝瓶赤天珠(右下)
朱砂の正体シナバー(辰砂)について
朱砂の正体はシナバーという鉱物です。
シナバーは水銀を含む鉱物で、古代中国やインドで不老不死を得るための霊薬と信じられていました。また、「賢者の石」の愛称でも知られています。
瑪瑙が成長する過程においてシナバーが混入することで朱砂天珠の元となる朱砂入り瑪瑙が生まれます。
瑪瑙の縞模様は成長段階で不純物が含まれることなどで生まれるため、縞模様に沿って線上の朱砂が見られる朱砂天珠が多くなっています。
天珠表面のひび割れ
馬蹄痕とは
天珠の表面には小さなひびが入っていることがあります。馬の蹄のようなU字型のものが多いことから「馬蹄痕」と呼ばれています。
これは瑪瑙を高温で加熱し模様を付けるため、表面が弾けこのような小さなひび割れが発生することがあります。
馬蹄痕はその天珠がしっかりとした製法で作られた証拠でもあり、敬遠するものではありません。
また、老天珠に見られる馬蹄痕については「風化紋」と呼ばれます。
馬蹄痕に薬液や汚れが付着したものを朱砂と間違える方もいらっしゃいますのでご注意ください。